デザイン教育と新人育成

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春は出逢いと分かれの季節。 多少は春っぽい出逢いの一つや二つあってもいいじゃないかとぼやきつつ、私の勤務先は退職者を複数人出し業務が上司に集中して頭を抱えている様子をあざ笑う日々が続いてる。 ところで、新人が入ってくるという噂もあり、上司はそれを期待半分不安半分に様子見ているといった調子だった。 僕はといえば、いつ退職しようか考えながら今日も仕事をさぼってブログを書いている。 新人。 フレッシュ爽やかスウィーティーな響き。 輝く君の瞳が、ダークサイドに落ちるまでって官能小説のタイトルっぽくていいですね。 「デザイナーになりたい!」って入社してきた人たちが「デザインしたくない」って闇落ちする過程を見たり経験しながら、いかに新人に健康健全建設的にデザイナーとしてスキルアップしてもらうべきか、よく考えます。 それは、おそらく自分が理想とするデザイン教育と上司が実際に施すデザイン教育が絶対的に違うのが原因である。 実際に教育する立場になれば、その気持ちも分からんでもないが、ここはひとつ考えてみようと思う。

未経験だからこそ「〇〇〇〇」

別に卑猥な単語が入るわけじゃない。 未経験って響きはこうグッとくるものがありますよね。今から開発される余地が残っているってやっぱり卑猥じゃないか! 自分の考え方としては「未経験だから優しく教える」 上司の考え方としては「未経験だから厳しく教える」 なんかSとMみたいなあれだよね。未経験だからこそハードに責める上司と優しくリードする上司。あぁん、なんて激しいオフィスラブ。アホか。 もちろん、教育においては「どっちが正しい」ってことはないと思うんだけど、気にはなる。 あるデザインが後輩から「見てください」と見たときに…まぁ、あんまり良くないデザインが上がっていたとする。 その場面において、上司は「ダサイ」と言っちゃうタイプに対して、自分は「このデザインはこのデザインだと適していないんじゃない?」と言う。というか、ダサイとか傷つきそうな言葉を使わない。 上司に「ダサイ」とか言いすぎじゃね??って言ってみると「でも、ハッキリ『ダサイ!』って言わないと分からないだろ?」と言っていた。一理ある。 おそらく上司の問題は「ダサイ」といった後のフォローがないのが問題かとも思われる。おそらく上司はそういったフォローを俺にしてほしいという意思も述べていた。 「なんでダサイって言われたと思う?じゃあ、今後これは止めよう!これをしちゃダメっていうのも幾つかルールみたいに決めておけば、そういうのは避けられるしスキルアップにつながるよ」といったところか。 反吐が出るわ。 しかしながら、それほどハッキリと「これはダメなんだ!」って思っていた方が、変なセンスのクライアントや営業からきた変なオーダーに対して「これはダメだ!」と反論できるようになると思う。 大事なのは「なんでダメなの?」に対して「これはこうだからダメなんだ」と言えれば理想だが、なかなかそのレベルは難しい。そこで「上司に絶対にダメって言われました!」と予防線を張れるのは一個武器ではないかと思います。 ただ、新人デザイナーに「ダサイ」って言うのは相当バカか勇気ある行動だと思う。 それはいわばライオンが自分の子供を崖から落とすがごとく、罵声と取られても不思議ではない言葉に耐えられる者こそ上がってこいという考え。正直、ちょっとダサイ考えだと思う。 自分の作ったものに対して「ダサイ」って言われると、それがどんな場合であれ傷ついても仕方ないと思う。今でこそ「あ、ダサイですよね、俺もそう思います!」って言うんだけど、新人だとそれを重く受け止めてしまう可能性が高い。 何が正しいのかをキチンと教えてあげず、導いてあげずに、上がってきたものに対して「ダサイ」って怒るのは、指導放棄だと思う。 キチンとラフも見て、制作途中のモックアップも見て、それでもキッツイものが上がってきたら「バカヤローッ」かもしれないけど、ラフも途中も何も見ずに新人が一生懸命作ったモノに対して「ダサイ」っていうのは、おかしいと思う。 そういうと、上司はこういった。 「学校じゃないんだから。仕事なんだから」 「仕事だから」っていうワードは、結局は「諦めて従え」っていう意味なのかなって思う。 俺は指導放棄もするし、そのくせ上がってきたものに対してはキツイ言葉で批評するけど、仕事だからと思って諦めて耐えろ。 という意味なのかな。って…。 「仕事だから」 っていう言葉だけは、今後何があっても言わないようにしようって思いました。 生きていて理不尽なこととか嫌なこととかいっぱいあるし、自分が幸せになるビジョンとかは一切ないけど「諦めろ」っていうことにだけは抗っていくことが、プログレに生きることにも繋がるんじゃないかなぁって、そんな淡いことを考えながら、とりとめもなくなった記事を〆ることにします。 この春、退職される二人のスタッフの未来が明るいことを祈って。