普段の5倍増しくらいのテンション、Agrippaです。
2022年9月12日(月)に、俺は、俺はYESを見たのだ。 YESと言ったらJOJOのEDとして起用されたRoundAboutがネットミーム的に流行り、今でもおもしろgifアニメにつけてみましたって感じでRoundAboutをはりつけてキャッキャしているキッズを見るたび、お前らちゃんとRoundAbout、いや「こわれもの」と「危機」と「サード」と「海洋地形学の物語」と、ついでに「タルカス」と「クリムゾンキングの宮殿」と「狂気」と「怪奇骨董音楽箱」も聞いてこいや!ってキレそうになる、あのYESである!!あとリック・ウェイクマンのソロと、いうまでもなくバグルスのラジオスターの悲劇もな。
話はさかのぼるが、正直今回のYESライブ。 実はギリギリまで乗り気ではなかったのである。 と、いうのもお恥ずかしい話だが、現行YESのメンバーがほとんど分からないのが、その理由である。 特に今回の公演は「危機」を全曲やるというのが、コンセプトになっていた。 その名盤「危機」を発表した当時のメンバー。いわゆるこれがYES黄金期のメンバーといわれるのだが、
- クリス・スクワイア
- ジョン・アンダーソン
- ビル・ブルーフォード
- スティーヴ・ハウ
- リック・ウェイクマン
この5人である。 おそらくYESと言われればこの5人。あるいはビル・ブルフォードではなく今公演直前で亡くなったアラン・ホワイトが含まれるであろう。(個人的にはブル・ブルフォードはKingCrimsonのイメージが強い) しかし、時は流れ「危機」の発表から50年。 メンバーは入れ替わり、惜しくも亡くなったクリス・スクワイアとアラン・ホワイト両名の意思を継ぎ、現行YESとして名を連ねるのが以下の通り。
- ジョン・デイヴィソン
- スティーヴ・ハウ
- ビリー・シャーウッド
- ジェフ・ダウンズ
そう、スティーブ・ハウしか黄金期のメンバーは残っていないのである。もちろん、黄金期ではないというだけでジェフ・ダウンズはバリバリYESとバグルスで活躍していた大御所メンバーではあるが。
正直に言うと…ジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンいないYESか…という印象が強く、当初は行くのを渋っていた。 それこそ、ノーベル賞授与式に招待されたボブ・ディランのごとく「行けたら行く」の精神で思っていのだが、スティーブ・ハウももう75歳。この機を逃すと2度と見れない可能性がある。 つい最近、ジェネシスもラスト・ドミノと銘打ったライブを敢行し、その活動に終止符を打った。ピンク・フロイドは世界情勢を受けアルバムを出すには出したが、活動再開というわけでもない。 キング・クリムゾンもロバート・フリップ御大は「もし、キング・クリムゾンのツアーが第三次世界大戦を防ぐ唯一の方法だと確信が持てたら、電話をかけるだろうね」と、コメントをしている。 そう、今現在目撃できるいわゆる五大プログレッシブバンドはYESを残して他にないのである。(EL&Pはパーマーおじいちゃんに頑張ってほしいところ…) これが最後になるかもしれないという気持ちもこめて、ライブへと向かうことにした。 とはいっても、ただライブに行く日まで危機を聞き込んでいればいいわけではない。(危機…だけにね!ドッ) 今のメンバーの演奏を知っておかなくてはいけない。 そのため、最新アルバム「クエスト」を聞き、YouTubeで最近のライブ映像を探した。(あんまり褒められたものではない) そしてYouTubeで見たものは、今年の6月の映像だというものであった。具体的な言及は避けるとして…コメント欄は結構荒れていた。 そう。やっぱり70オーバーのメンバーも多くいるのにブリバリにゴリゴリのクオリティで演奏するキング・クリムゾンがおかしいんだ。普通はこうなる。現にキース・エマーソンも演奏のクオリティが落ちることに悩みに悩み、インターネットに書かれる誹謗中傷に深く傷つき、自ら命を絶ってしまったという悲しい出来事を忘れてはいけない。 あの映像に悪口を書いたやつは全員キース・エマーソンを殺したのは自分だと認識すべきだ。そしてそんなことをちらりでも思った俺も反省をすべきだ。 演奏がどうとかではない。スティーブ・ハウやジェフ・ダウンズ。そしてアラン・ホワイトの冥福を祈る気持ちでライブに行こう。 そんな絶妙な心持ちでライブへと向かった。
だーーーーーーーーーーーれだ、そんなアホなこと思いながら行ったバカは。 最高じゃん。 そこには、ノリノリでギターを地面にブッ刺してギターを引く75歳がいるし、ステージをノリノリでぴょんぴょん飛び回る75歳がおり、ギター2本とメロトロンを次々に持ち替えて演奏をかます75歳がいた。なんだあの75歳?ギター地面に刺して弾いてたところ、遠目にクラッシュのジャケットかと思ったぞ。 もちろん、それ以外のメンバーももうすごかった。 とりあえずセトリから
- On The Silent Wings of Freedom
- Yours is No disgrace
- Does it Really Happen?
- Wonderous stories
- The Ice Bridge
- To Be Over (アコースティック ハウソロ)
- Leaves of Green(アコースティック)
- Video killed the radio star(ダウンズソロ)
- Close To The Edge
- And You And I
- Siberian Khatru
- RoundAbout(アンコール)
- starship trooper(アンコール)
YouTubeでみた動画はおそらくは今話題のフェイク動画とかいうやつで間違いない。1発目から若干のテンポダウンはあるもののYESサウンドが展開され、プログレッシブでありながらもポップセンスが爆発している。 そう、YESはプログレとして聞くことが多いが、めちゃくちゃポップなのである。ライブを聴いて「YESの曲ってこんなにドキドキワクワクする楽しい曲だったっけ?」と思った。しかし、キメるところはキメ、複雑なところはより奥深く、曲の奥行きを増しながらポップにロックで盛り上がっていく。 3曲目のDoes it Really Happen?ではベースのビリー・シャーウッドがゴリゴリのベースで曲を引っ張っていく。 そしてYESのボーカルは、教祖ことジョン・アンダーソンという巨大な障壁があるのだが、(思えばボーカル問題はキング・クリムゾンのジャッコ・ジャクジクも苦労していた覚えがある。)ジョン・デイヴィソンは、堂々たる振る舞いで歌い上げていた。正直、今のメンバーの演奏であればジョン・アンダーソンよりもジョン・デイヴィソンの方が合っている気さえする。どうかな。比較したことないからわかんない。 そして、今回パワーアップした若手(?)2人に突き上げられたのか、ジェフ・ダウンズもめちゃくちゃ良い演奏をしていたし、なんといっても出血大サービス!Video killed the radio starを演奏したことに関しては、もはや感動である。大絶叫した。(もちろんマナーを守ってしておりませんが、出かかった危なかった) 詳細は省くが、YESライブ前にふとしたきっかけからちょいちょいVideo killed the radio starを聞いていたので、まさか本物がこんな機会に聴けるとは思ってもいなかったので、なおさら…。 そして、やはりYESの看板を守り続けている75歳。スティーブ・ハウである。 もはや最初に書いたのですが、本当に75歳か!?と思うアグレッシブさ。まさにロックスター、いやプログレッシブ・ロックスターの名を欲しいがままにする75歳の姿がそこにはあった。 そして、ラジオスターの悲劇から始まる危機の再現。 もう、あれを見れたことに感謝である。 個人的YESで一番好きな曲は?と聞かれれば人並みに「Round About」と答えるのだが、アルバムは?と聞かれれば間違いなく「危機」である。仕事で使ってるチャットツールの画像は危機のアルバムにしているくらい危機が好きである。なんなら、YESのロゴがめっちゃ好き。ロジャー・ディーンのロゴ。LINEスタンプにほしい。 おかげでライブグッズめっちゃ買ったわ。金がねぇ!!危機Tシャツも買ったわ!
そんなYESのライブは、気がつけばあっという間に危機の再現を終え、アンコールにはRoundAboutとstarship trooper。 客席全員が立ち上がって、ノリノリで手拍子をする光景はまさに老人介護センターのお遊戯会さながらである。いや、若い人もいたけどね、周り見回してもおっさんとかばっかりだから、どうしても… なによりも、ステージでノリノリでギター引いて盛り上がっているのが75歳だし…。 とにかく、最高のライブだった。 半世紀以上活動してきて、今もこうして活動してくれていることに感謝をしつつ、本当にきてよかったと思って帰路についた。
俺は2022年9月12日にYESを目撃したのであった。君はどうだ。